ウイルスに強いからだは「菌」がつくる。

「菌」と共に生きる人のからだ

人間のからだは実は「菌」だらけ

人間のからだには細胞の数よりもはるかに多い100兆個を超える数の微生物が体内に存在すると言われています。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時は無菌ですが、生まれた瞬間から菌との共生が始まります。お母さんの皮膚から赤ちゃんの皮膚へと菌が受け渡され、様々な物質や人との接触を経て菌を取り入れていきます。それら微生物と人体とが、戦ったり譲ったりの駆け引きを経て、一部の定着した微生物が常在菌となります。

なくてはならない常在菌

安定した常在菌は体に害を及ぼすことがなく、人と共生関係を保っていきます。逆を言えば、菌をすべてなくそうとすると、良い細菌もいなくなってしまうので、病原菌が繁殖しやすくなるということが言えます。

健康のバロメーターは「腸」と「菌」

常在菌が特に集中する場所「腸」

人に必要不可欠な常在菌が多く集まる「腸」は、消化吸収という本来の役目のみならず、新型コロナウイルス報道でも話題となったIgA抗体など、病気に打ち勝つ免疫にも深く関わっています。そして、腸内に住み着く常在菌=腸内細菌も健康を左右する大変重要な役割を担っていることが最近の研究で明らかになってきました。腸に集まる「免疫細胞」と「腸内細菌」が連絡を交わし、からだの各部に様々な司令を出していることや、さらには「脳と腸と腸内細菌」の相互作用や関係についても提唱されてきています。
今や食のみならず、運動や眠りに関しても“腸視点”からのアプローチが増え、最新の難病治療では腸内細菌叢移植(ちょうないさいきんそういしょく)も話題となっています。健康を意識する時、「腸内細菌」は外せないキーワードなのです。

脳腸相関とは?

ストレスを感じるとお腹が痛くなり、便意をもよおします。これは脳が自律神経を介して、腸にストレスの刺激を伝達するからです。 反対に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すというように脳と腸の相関関係が存在します。

腸内の菌はどんな状態が理想的?

理想の一つは、菌が多種多様でバランスよく存在していること。バランスよく存在していれば、腸内環境の変化に対応しやすくなります。私たちが健康な毎日を送るためには、まずは腸内での「菌」の有りようから考える時代がやってきたようです。

自分にあった「菌活」をしよう

腸内細菌は善悪よりも「バランス」と「多様性」がカギ!

私に足りない「菌」はなに?

ここまでの話で、ご自身の腸内環境や腸内細菌がどのような状態なのか気になった方も多いと思います。検査で詳しく知る方法もありますが、健康状態から間接的に判断することもできます。便秘、下痢、アレルギー、アトピー性皮膚炎がひどくなっているなどの症状がみられる方は、腸内環境の悪化を疑ってみる必要があります。
今あらわれている状態を列挙して、足りない「菌」を摂取する、腸内環境を整えるよう意識することから、まずは始めてみませんか?

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