間違った冷え性対策は、冷えを促進することにも。冷えを正しく理解しよう。

間違った冷え性対策は、冷えを促進することにも。冷えを正しく理解しよう。

手足が冷たい状態が当たり前・・・
それは危険信号です。

『冷えは万病のもと』と言われますが、常態化すると、その裏側にはらんだ危険性を見落とすこともあるからご注意を。

がん、脳血管障害、心疾患などの代表的な大病の根源に冷えがあると言われるように、基礎体温を上げ、身体を内側から温めることは極めて重要な健康要素の一つです。

そのためにも、『冷え』とは何かを正しく理解して、考えていきましょう。

そもそも、「冷え」とはなんだろう。

実は、冷えがない人はいません。
いつも手足がつめたい、冬時期は寒くて夜なかなか暖まらず、眠れないといった確実な冷え症を自覚している人はもちろん、暑がりでいつも汗をかいているという方も例外ではないのです。意外ですよね。
確かめる簡単な方法としては、起床後、すぐに足の指の間の体温を、次に脇の下の体温を測ります。その温度差が、冷えです。冷えている方は、その差が5~6度程度あることでしょう。

この上半身と下半身の温度差をなくし、血が全身を滞りなくめぐらせることによって
体のあらゆる異常をなくしていくのが冷え取りです。

肺・心臓・胃・肝臓など発熱する臓器の多くが上半身に集まっていますが、
下半身は発熱する臓器器官がなく、何もしなければすべての人が上半身より下半身のほうが冷えていています。
そして人間は立ってあるくことから、心臓から一番遠くて下にある足まで来た血液が重力によって戻りにくく、血行が悪くなる宿命を負っています。
血行が悪くなると血管が縮み、老廃物も溜まりやすくなり、ますます足先が冷えていきます。
血液は身体のあちこちに酸素や栄養を運び、老廃物を運び去ってくれます。

血がめぐらないと、身体に栄養や酸素が行きわたらず代謝が悪くなりますし、
身体がタンパク質の合成や分解を十分におこなうことができなくなり、その結果体内に毒素が残ってしまいます。代謝不良は低体温をひきおこします。
体温が下がれば免疫力も落ち病気に抵抗する力も弱まります。

足先の血流が悪くなると心臓は血圧をあげて血流を促そうとします。すると今度は下半身におりていかない血液が脳へと流れ込むことになります。
これが高血圧や脳溢血の要因の一つです。

それでは、どうしたらよいか?というと、下半身の中でも特に足を温めることで血の巡りが良くなり、上半身と下半身の温度差が縮まり、血圧が下がり、内臓も活性。結果、からだのいろいろな障害がなくなっていく、というのが血の巡りから見た冷え改善です。

もちろん、お腹・首・足首などの大切な温めポイントも無視できません。

一見、冷えとは何の関係もなさそうな、がん・アトピー・花粉症・水虫・肩こり・婦人科系疾患まで、その根本要因の一つに冷えもあることを少し心にとめておいてください。


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冷えの原因をつくる生活習慣
白砂糖・乳製品の多量接種も要因の一つなのです。

現代人は昔の人にくらべ、足や腿の筋肉を使って熱を使うことが減っています。
筋肉を動かせば、身体は暖まるようにできているのです。
また、体を冷やす食べ物や食品添加物、白砂糖や乳製品をいっぱい摂取していることも冷えに拍車をかけています。
さらに、夏は冷房、冬は暖房によって体が正常とは違う温度でバランスをくずしていること、睡眠不足やシャワー中心の暮らしなど、冷えと現代人は切っても切れない関係となっています。
こういった生活習慣はなかなか変えられませんが、冷えを予防する簡単な方法の一つに、一番大きなポンプであるふくらはぎを動かすウォーキングがあります。ふくらはぎは心臓と違って、自分の意志で動かすことができます。
できるだけ大股で歩くと、骨盤を動きます。骨盤が動くと交感神経が緩むので、よりよい睡眠にもつながります。有酸素運動であるウォーキングをすることで、血管年齢の若返り、心臓病リスクの軽減、風邪予防、便秘予防・・・など。
これらの改善が、しいては生活習慣病の予防になり、大病への道筋を断ってくれるのです。

冷え性は1つじゃなかった。東洋医学からみる、冷えのタイプ。

冷えは千差万別。
表面が冷えている人、外は温かいのに深部が冷えている人、下半身だけ冷えている人。
東洋医学からみるタイプはどのような特徴があるかみてみましょう。

からだの内側から冷えている「陽虚」タイプ

  • 手足が氷のようにつめたい
  • 頻尿になりやすい
  • 腰痛がある
  • むくみがある、舌の縁に歯痕
  • 下半身の激しい冷え

陽虚タイプの冷えは、入浴後すぐに冷えがきてしまうような強めの冷えです。手首や足首までが冷え切り、尿トラブルや腰痛などの症状も出やすくなります。このタイプの冷えは、腎に蓄えられるからだ全体を温める作用である腎陽気が不足しており、体内に冷えがたまっているので、水分が胃腸に留まり朝方に下痢を起こしやすいなどの症状もでることが。

対策方法

身体を冷やす食事を避け、温める食材を摂ること、腹巻や湯たんぽ、五本指ソックスなどで身体を冷やさない工夫をすることで、厳しい冷えから身体を守りましょう。

また、化学調味料や乳製品、白砂糖、精製された食品は身体を冷やす代表ともいえる食材です。

化学調味料はできるだけ減らし、未精製のものへと意識を向けてみましょう。
また、今では温める食材の代表格として冬になると消費量が増える生姜ですが、薬膳でいうところの生姜は「生姜 ショウキョウ」と「乾姜 カンキョウ」の二種類で効果がことなります。

「生姜 ショウキョウ」は殺菌作用に優れ、風邪の引き始めなどにおすすめの食材です。一方、「乾姜 カンキョウ」は身体を芯から温めてくれる作用があり、このタイプの強い冷えには特におすすめの食材と言えます。

おすすめの食材

生姜、たまねぎ、ニラ、ニンニク、ねぎ、やまいも、さといも、もも、さくらんぼ、クルミ、ハスの実、くり、ささげ、山椒、フェンネル、ウナギ、エビ、牛肉、鹿肉、猪肉、羊肉

血の不足による冷え「血虚」タイプ

  • 顔色が悪い
  • 肌や髪が乾燥、抜け毛や白髪
  • 手足と足先が冷えている
  • めまい

血虚タイプの冷えは、陽虚タイプよりも冷えの症状は軽め。
手足の冷えに加え、肌の乾燥、唇の荒れ、顔色が悪い、めまい、月経時の経血の量が少ない等が症状の特徴です。

また生命エネルギーである気が不足する、気虚になることで血の巡りが悪くなる場合も多く、気虚の症状も併発している場合は合わせて改善する必要があります。

気虚の症状は疲れやすい、気力がわかない、食欲がない、おなかを壊しやすい、風邪をひきやすいことがあげられます。

養生のポイント

血が不足している血虚は、月経や出産の関係で女性には多く見られる症状です。血は夜に作られるため、夜更かしは厳禁です。
電子機器を遠ざけ、睡眠の2時間前までに入浴し、就寝することで、質の良い眠りを得られ、血を補うことができやすくなります。
気虚を併発している場合は、食事は消化に良いもので、尚且つ栄養の豊富なものを摂るようにしましょう。
特にこのタイプは気が朝に作られることから朝食が大切。気を補うキノコやジャガイモ、豆類を基本にした温かいスープがおすすめ。そこに、血を補う卵やクルミ、黒ゴマや黒豆などをプラスすると良いでしょう。

また、当帰芍薬散でおなじみの当帰の根はこの血虚タイプにおすすめだそう。

おすすめの食材

クコの実、かぼちゃ、きくらげ、金針菜、ほうれん草、にんじん、プルーン、ぶどう、あずき、黒豆、黒米、黒ゴマ、くるみ、なつめ、イカ、タコ、マグロ、牛肉、鶏レバー、卵

原因はドロドロの血液による血行不良!「瘀血」タイプ

  • 身体の冷えに加え、痛みがある
  • 肩こり&首こり
  • のぼせやすい
  • 月経痛が激しく、期間が長い
  • 頭痛、腰痛

瘀血とは、身体のうっ血や充血のこと。このタイプの冷えは、身体の冷え、それに伴う痛み、ジンジンとしたしびれなどが特徴です。
身体全体を温かい血がスムーズに巡っているのが健康な状態ですが、このタイプは血の巡りが滞った状態。血行不良のため頭痛や腰痛、肩や首のこりなどの症状が出やすくなります。

上記の陽虚タイプと血虚タイプの症状と併発することも多く、その場合には合わせて改善していくことで、根本的に冷えを改善することができます。

食生活のポイント

瘀血タイプは、ドロドロの血液になりがち。その原因はトランス脂肪酸などの質の悪い油、肉類、砂糖の過剰摂取など、食事によるところが大きいと言われています。
代わりに生野菜を出来るだけ採るようにしていきましょう。
生野菜というと冷え性の方は、身体を冷やすので避けているという方も多いですが、血行不良により冷えが促進されているこのタイプは、血液をサラサラにしてくれる生野菜は積極的に摂ってほしい食材です。
ただし、冬に摂取するサラダは、身体を冷やす性質がある夏野菜ではなく、温性の野菜や根菜などのサラダを頂くのがおすすめです。
サラダのドレッシングの油も注意!
一般的なドレッシングに多く使用されているサラダ油の主成分はリノール酸です。

リノール酸は身体に必要な脂肪酸ですが、摂りすぎると善玉コレステロールを下げたり、血液をドロドロにしたりするといわれ、アレルギーの原因となることも。
また、ノンオイルのドレッシングも、人工甘味料や白砂糖などで甘みを付けているものが大半。オメガ9脂肪酸の良質なオリーブオイルやオメガ3脂肪酸の豊富な亜麻仁油、エゴマ油で自家製のものをつくると安心ですね。

おすすめの食材

きくらげ、たまねぎ、なす、ニラ、さといも、チンゲン菜、れんこん、加熱したトマト、桃、プルーン、ブルーベリー、ローズ、酒かす、納豆、黒米、黒豆、アジ、鮭、サバ、イワシ、サンマ、サフラン、ココア、ハイビスカス


オメガ3・6・9の好バランスのおすすめの良質な油 ウドズオイル

まずは普段の食生活と着こなしを見直そう

冷えのタイプが違えば、効果のある冷え対策も人それぞれ違ってきますが、人間の摂取・巡り・排出の3つの営みが、滞ることなく、緩やかな川の流れのように行われていることが冷えを予防することになりそうです。
摂取に関しては、過多になりがちなので、腹八分を心がけることが大切。
着用するものはできるだけ天然素材のものを。できるだけ良く動いて体内の巡りをよくし、毒素や体に不必要なものは、汗・尿・便という形で排出していく。
排出するという意味ではストレスもため込まないほうがいいようですね。当たり前のようでいて、すべてがスムーズに行われるのはなかなか難しい3つの営み。
まずは、意識して、少しずつ取り入れることから始めてみることが冷えと向き合う第一歩です。

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