私の”常識”を変えたウド博士

私の”常識”を変えたウド博士

「油をお飲みなさい」というウド博士の第一声には耳を疑った。
ダイエットは勿論、健康のためにも、できる限り油の摂取を控えるというのが数十年頭に染み付いてきた常識中の常識だったのに、こともあろうに栄養学の大先生から油を飲めと言われるなんて、これは悪い冗談だろうか、それとも逆説的論法というものだろうか。

だいたい、ウド・エラスムスなんて名前からして変わっている。

ウドといえば私の頭に浮かぶのは酢味噌和えや赤出汁だ。ウドの皮のキンピラも美味しい。
ウドの大木という言葉もあるけれど、これはこれはあまりいい意味ではないらしい。

しかしウド博士もヌーッと背の伸びた、かなりいかつい大男である。

「ダヴィンチ・コード」の映画に出てくる戒律の厳しい修道院のガウンでも着せたら似合いそうに禁欲的な風貌だが、眼は優しく微笑んでいるし、話し始めると剛直な論理に潤滑油のようなユーモアがたっぷり絡んで、どんどん説得力を増していく。

そうなのか、多くの油が健康の敵であることは確かだが、生命維持に不可欠な必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6はしっかり味方にっけなければならないということなのだ。

しかし体内で自然に生成されない必須脂肪酸は食物から摂取するしかないし、オメガ3の良質なものを十分に摂るのは難しい。

それでウド博士が研究を重ねて選び抜いた最良の種子原料をブレンドすることによって、理想的なバランスで必須脂肪酸を確保できる画期的な食養油が完成したのだ。
(実はこれははじめ食用油と書くっもりだったが、パソコンで入力したら最初に食養と出たので、あ、この方が正しいじやないかと思って、そのままにした)

そういえばヴァンクーヴァーの自然健康食スーパーで、必ず冷蔵庫の中に並べてある特別扱いの油があることが以前から気になっていた。
ウドズ・オイルブレンドという名前だが、まさかあのウドを絞ったオイルではないだろう、西洋にも「ウド」という名の植物があるのだろうかと思ったりしたものだが、これはウド博士が調合したオイルということだったのだ。

ウド博士は除草剤による重度の中毒で医者に見離されたとき、自己流で油による解毒に成功したという体験があり、それをきっかけに研究にのめりこんでいったというだけに、「油と健康」にかける情熱は半端ではない。
彼の熱弁に圧倒されて、実はしぶしぶウドズ・オイルブレンドを飲み始めたのだったが、一週間もたたないうちに手の甲がつややかになり、それがどんどん身体中の皮膚にひろがって行った。

身体の内部は眼には見えないが、何かしゆるしゆると血の巡り気の巡りがよくなっている感じがあり、明らかに体調がいい。

昨年はカナダのフローラ社を訪ねて、ウドズーオイルブレンドの製造工程や、原料を生産する畑を見学したが、明るい陽光の申を、いささかの濁りも淀みもなく清々しく流れる川に沿って歩くような、実に気持ちのいいツアーだった。

ここで生まれた油なら、やはりこのように気持ちよく身体の申を流れていくのだろうという、爽やかなイメージが湧いて来た。


ウド博士のオイルの原料はフローラ社独自の低温圧搾法で搾られ、包装・出荷以降も厳重に温度管理され、鮮度を保つ。

桐島洋子(きりしま・ようこ)
1937年東京生まれ。
文芸春秋に9年間勤務したあと、フリーのルポライターとして海外を放浪。 ’70年に作家デビューし、72年には『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション章を受賞。痛快な育児論、女性論、旅行記で人気を集める。現在は年の3分の1をカナダのヴアンクーヴアーで過ごし、晴耕雨読の暮らしを楽しむ。


「見えない海に漕ぎ出して」 (1,500円・海竜社)
桐島さんがフローラ社のフロー・エッセンスを初めて日本に紹介した記念すべき書(初版1994年)。

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